不連続殺人事件 感想

登場人物が多すぎるミステリー

なんと登場人物が30人近くいます(笑)おまけに一部の人間はあだ名で呼ばれたりしているので覚えなければいけない人名はそれ以上かも……ただ相関図やメモを取りながら見たほうが良いという意見もありますが僕はそんなものがなくても中盤くらいからはちゃんと整理できたので必要ないと思います。
そういえばこれって実は映画化されているのはご存知でしょうか?僕は未見ですが、これだけ多い登場人物を2時間で描写するのはいくらなんでも無茶な気がします(笑)
日本のミステリーの傑作と言われている本作ですが、正直僕としてはイマイチでした。やっぱり純文学がメインの人が描いた推理小説だからしょうがないのかな。特にこの時代の小説を読み慣れていないので文章が読みづらかったです。でも終盤の種明かしは一気に引き込まれてスラスラ読めましたけどね。

心理の足跡について(以下、ネタバレ注意)

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本作の肝はやっぱり「心理の足跡」だと思うんですよ。
犯人の不自然な心理から真相を紐解くというスタイルはもちろん好きですが、それにしたって本作は引っかかるところが多すぎます。
まず連続殺人事件が起きているにも関わらずなぜ誰もあの場所から逃げようとしないのかが理解できません。あの場所がクローズドサークルというわけではないわけですし、あの場所に留まらなければいけない明確な理由も記してありません。現に巨勢博士は東京へ出ているわけですから。そして身近に殺人鬼がいるにも関わらず簡単に逢引しすぎです(笑)
それからピカ一があやかに対してあれだけ暴行したのに警察沙汰にならないのはなぜ?一馬も嫁があんな目に遭わされたのに憤りを感じないのはおかしいでしょう。海老塚が食事に同席することは拒めるくせに。
僕からすれば「心理の足跡」とか言いつつ他の不自然な点にツッコミが入らないのが気がかりでしょうがないです。

物的証拠

結局、物的証拠ってないんですよね。巨勢博士が東京で見つけたのは「待合の女将がピカ一とあやかが一緒にいるところを目撃した」という人的証拠なわけですから。ピカ一の言う通り別にあやかは死ぬ必要はなかったわけです。この事件はピカ一の告白がなかったら完全犯罪が成立できたと言っても過言ではないでしょう。
というか巨勢博士ってあやかが自殺しなきゃどうやって彼らを追い詰めるつもりだったんだろう(笑)そのあたりにやっぱり爪の甘さを感じますね。

批判ばっかりになってしまいましたが、あやかが部屋に鈴を置いた理由なんかはかなりよくできていると思います。

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