透明化した社会の恐ろしさ
ネタバレなし
あらすじ
主人公メイは友人アニーのコネで大手IT企業ザ・サークルに就職することになった。初めはその社風に戸惑いを隠せない彼女だったがCEOのイーモンに気に入られてからどんどん経営理念にのめり込まれていき……
原作はデイヴ・エガースの同名小説ですがそっちは未読で本作を鑑賞。
評価は高くないですがITをテーマにした血生臭くないスリラーというのがなかなか貴重だったんで暇つぶしにはなりました。
ネタバレあり
てっきり行き過ぎた相互監視社会を風刺した作品なのかと思いきやメイがドローンに話しかけているオチには唖然としました。結局、彼女は何がしたかったのやら……
非現実的だなと感じた点も多いです。まずSeeChangeはトイレだと3分間停止する機能があるのなら寝室も撮影禁止にするべきじゃないでしょうか。というかそもそも3分って短すぎでしょ(笑)それにただの会社員にすぎない人の日常なんて230万人もリアルタイムで視聴するとは考えにくいです。それに近いことは今の技術でYouTuberあたりがやれるはずなのにそういった成功は一切耳にしませんからね。
あと何も悪いことをしていないマーサーを結果的に死なせてしまったにも関わらず世間がなぁなぁの雰囲気で許してるのは流石にありえないでしょう。だってネットを見れば一目瞭然じゃないですか(笑)そんなに甘い人たちばかりじゃないですからねえ。アメリカで見慣れた会社の前で反対のデモが行われている風景が全くないのもどうも不可解です。
それから会議室でTrue Youを選挙と紐づけようとするシーンでメイがアメリカ国民に投票義務を負わせるべきとか言ってましたがそれを決めるのはどう考えても政治家の仕事でしょ!とツッコミたくなりましたよ。
ただラストで停電で真っ暗闇になったステージを大勢の観客のスマホのライトが照らすシーンは非常に印象的だったなあ。まるで誰かが闇に葬ろうとした秘密をなんとしてでも明るみに出そうとする好奇心旺盛なネット住民を象徴しているかのようでした。
ところでザ・サークルのロゴって頭文字を取った視力検査の記号みたいなCのマークですがこれって言い換えると円(サークル)がちょっとだけ欠けた形じゃないですか。この小さな空白は繋がっているようで繋がっていないイーモンとトムのことを示唆しているんじゃないかっていうの思うんですが……いや、ちょっと考えすぎかな(笑)