五瓣の椿 感想

何度も実写化されているが……

5回も実写化をされている1959年発売の人気作品みたいです。いずれも未鑑賞で読み始めましたが僕はどうもしっくりきませんでしたね。
テーマは一貫して「姦通許すまじ」といったところなんですが、殺すほどかな、と終始思いました。こういう作品って「復讐なんかダメ、何も生まないし、被害者はこんなことしてほしかったと本気で思ってんのかよ!」っていう正義感に溢れた某名探偵の孫みたいなやつが出てきがちですが、そんなやつは一切でなかったのが意外でした。

色仕掛け一辺倒(以下、ネタバレ注意)

僕ががっかりしたのはとにかく復讐がワンパターンなこと。第一章を読んだ時は、これから起きるであろうことにすごくわくわくしていたんですがね……まさかこれほどまでに色仕掛け一辺倒だとは思いませんでした。美貌もあるけどそもそも金もあるんだから色々工夫できそうのになあ。ぶっちゃけ第二章と第三章なんてほぼ一緒の展開じゃないですか(笑)ここら辺は本当に退屈でした。青木が出てきて初めて緊張感が出てきましたよ。
せっかくおしのは毎回偽名を使っているんだから、一章くらいは叙述トリックでも使ってミスリードするくらいの仕掛けがあっても良かった気がします。
それと源次郎を本当に畜生にしてしまうくらいの胸糞悪さがあれば、もう少し後世に名を残す衝撃作になれたのかもしれませんね。

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結局自殺しちゃうんかい……

最初はちゃんと自首するって意気込んでたのに急に怖気付いたのには呆れましたね。たまに現実世界でも人殺しが判決が下される前に自ら命を絶つっていうことが起こりますが、この手のニュースにどうも嫌悪感を覚えてるのは僕だけでしょうか。自殺って決して罪を償うことではないと思うんですよ(っていうかこれおしのも手紙で書いてたような)。こんな風に逃げた時点で程度の差こそあれど憎き母親たちと大差ないだろと言いたくなるのに、青木がやたらと同情的だったのはイライラしました。僕と作者の価値観の違いがはっきり現れたシーンでしたね。
そもそも本作はおしのの逮捕が目前に迫っているということと労咳にかかっているという2つのタイムリミットがありましたが、これはどちらかで良かったようなきがします。なんというか1つならともかく2つあるとおそらくどちらも成されないだろうなと推察できちゃうんですよね。

ちなみに最後にドラマとして放送されたのが2001年のNHK版。
あれから20年経った現在は芸能人に不倫スキャンダルに厳しいながら一方で娯楽として消費されているような歪な側面もあるのでリメイクすればまたヒットするかもしれませんね。おしののキャスティング次第では僕もちょっと観たいです。

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