ボケ老人視点の映画
ネタバレなし
あらすじ
年老いたアンソニーは認知症の気があり、娘アンとその夫を困らせていた。さらに日が経つにつれ、彼は周りの状況や自分の置かれている立場がどんどんわからなくなっていく。
原作はこの映画の監督でもあるフローリアン・ゼレールの戯曲「Le Père 父」ですがそっちは未見で本作を鑑賞。
なんだか評価がめっちゃ高いようですが、個人的には全くハマれなかった作品です。ジャンルは一応、ヒューマンドラマになるのかな。人によってはスリラーと評する人もいそうだけど。
あと気にしすぎかも知れませんが、まだボケていない高齢者には観せない方がいいかも。
ネタバレあり
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所謂、信頼できない語り手に分類される作品ですが、別にミステリーといえるほど謎もないのでとにかくメチャクチャな内容を一方的に見せられるだけの話でした。いっそアンソニー以外が財産目当てに全員嘘をついているようなパターンの映画の方が僕は好きです(笑)
おそらく制作側は視聴者にアンソニーのような認知症患者の世界を追体験してほしいと思い、こういった作りにしたということを手に取るようにわかるんですが、それだと最後急に幼児退行をするシーンで彼の世界から切り離されてしまうような気がします。あそこは直前に幼少期の回想でも入れて、突然現代に切り替わるといった演出の方が没入感が増すのではないでしょうか。
しまいには「なんだか急に全ての葉を失っていくようだ」なんて言い始めた時はもう呆れましたよ。彼、そんな詩人めいたこと今まで言ってなかったでしょ。無理矢理綺麗な感じで終わらせたいんだなって思えちゃいます。
あとアンソニー・ホプキンスがアカデミー主演男優賞を獲得したようですが、それもあんまりしっくりきません。別にダメだったわけじゃないけどボケ老人なんてそもそもが嘘みたいな行動をする人たちなんだから多少演技に粗があっても許される役だと思うんですよ。ハリウッド史に残るような名優だからって下駄を履かせてませんか?役の名前が演者と同じアンソニーなのもわざとらしくてなんか嫌(ちなみに原作はアンドレ)。
アメリカやフランスじゃこれでいいのかもしれないけど認知症患者の加害性や、排泄の大変さ、そして介護士の労働環境とかにスポットを当てないと認知症とそれを取り巻く環境の本質や現状が見えてこないのではないでしょうか。
文句ばっかりになってしまいましたが、こんな風になる前に両親や祖父母にはやるべきことをやっておきましょう。
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