17歳の瞳に映る世界 ネタバレナシとネタバレアリ感想

あえて考察はしない

ネタバレなし

あらすじ


アメリカの片田舎に住む女子高生のオータムはある日、望まぬ妊娠をしてしまったことに気づく。地元で中絶を試みるものの、親の同意書がいることを嫌がった彼女は、いとこを連れて同意書のいらないニューヨークへ向かうが……


評価はめっちゃ高め。未成年の女性が孤独で弱い立場に置かれているのがひしひしと伝わってきて、終始心苦しかったです。重いテーマなんで軽はずみにはオススメできませんがね。単純にロードムービーとして観ても悪くないです。

ネタバレあり

原題は「Never Rarely Sometimes Always」。最初はなんのことだかさっぱりわかりませんでしたが、劇中でもあったようにカウンセラーが手術前にする質問であり、セカンドレイプを防ぐためのものだそうですね。本作にピッタリなタイトルだと思います。
一方、邦題はダメダメ。ただの青春映画っぽく作品の暗さが伝わってないのがイマイチ。そもそも人や景色に一喜一憂したりするような内容ではなく、ずっとオータムは低空飛行で絶望してますから彼女の瞳には何も写ってないような気がします。

さて、本作を鑑賞しておそらく誰もが子供の父親は誰なんだろうと考えてしまうと思われます。僕もあいつかな、それともあの野郎かな、なんてついミステリーみたいに推理してしまいました。しかし上でも述べたように本作はセカンドレイプに重きを置いている作品でもあります。いつもの僕なら行間をこじ開けて、突拍子もないような仮説を立てて感想を述べるんですが、そういった下種の勘ぐりが被害者を傷つけるということを監督は伝えたんじゃないかなと察したのでこれ以上、考察するのはやめにします。こんなことをするのは初めてでなんだかやらなきゃいけないことをほったらかしにするみたいでちょっとソワソワしますが。

しかし登場人物のうち、女性はいい人ばかりなのに対し、男性は好意的な印象の人間が皆無だったのは少しミサンドリーぽくってがっかりしました。恐らく意図的なものだと思われます。
それにしても個人的にはジャスパーへの嫌悪感がハンパなかったですね(笑)

オータムが旅をする3日もの間、仮眠すらとった描写がないのが気になりましたが、最後のシーンへ繋げるためだったんですね。
あの田舎町に帰って根本的な問題が解決するのかはわかりませんが、少しでも安らぎがあればいいなと彼女の笑顔を見ながらそんなことを考えました。