トゥルーマン・ショー ネタバレナシとネタバレアリ感想

何だか怖いぞこの映画

ネタバレなし

あらすじ


離島に住む島から一度も出たことがないトゥルーマンは保険会社のセールスマンであった。しかし実は島はテレビのセットであり、彼は知らずにリアリティ番組の主人公をやらされていた。


みなさん唯我論って知っていますか?世界は自分のためにできているという考えです。自分が振り向けば後ろの世界が生成され、自分が死ねば世界が消滅するといった具合に。
この映画はまあ唯我論とは少し違いますが、何だかそれを彷彿とさせる内容ですね。

こういう内容を扱うときってたいていジャンルはホラーなんですが、この世界の創造主はリアリティ番組の制作者なので奇跡的にコメディに仕上がっています。
大丈夫だと思いますが、唯我論に異常に囚われたことがある精神を病んだ人には見せないほうがいいかもしれません。

ネタバレあり


ホラーではないと言いましたが、正直何だか怖かったです。観客を怖がらせようとしない点が怖いんですよ。下手なびっくりホラー映画より不気味でしょう。
ひょっとしてトゥルーマンが世界から消えた瞬間にスタッフロールが流れるんじゃないかと思いましたが、残念ながらスタッフと視聴者のシーンが残っていました。これさえなければもう少し色んな解釈ができたんですが(笑)

唯我論を扱った作品で思い浮かぶのは世にも奇妙な物語の「ロンドンは作られていない」ですかね。かなり古い作品なのでもう見れないかもしれませんが。

コメディ映画なんでしょうけど笑うところはなかったなあ。むしろ感心するところがたくさんありました。
ローレンの写真がないから似ているパーツだけ切り取ってそれっぽい顔を作るところや視聴者に向かってあからさまな宣伝をする奥さんなど(調べたらプロダクトプレイスメントというらしい)。

まあこんなツッコミするのは野暮なんでしょうが、実際にトゥルーマン・ショーみたいなものが放送されたら速攻打ち切りだと思います。まず人権を無視している点でクレームの嵐でしょうし、そうなったらスポンサーがつかないでしょう。ローレンみたいな人ももっと早く現れるに違いありません。というかこの映画の怖いところってそういうところですよね。善人が少なすぎるんですよ。

意外と宇宙の果てっていうのはこんな感じかも知れませんね。ちゃんとハリボテの壁があってその向こう側に観客がいてゲラゲラ笑っていて、時折化学じゃ証明できないイタズラをしかけたり……。

もうこれ以上考えるのはやめよう。